【二次創作】シェント vs シライ【創作文章】

人様(https://utunzm.jimdofree.com/)のキャラクターとこちらのキャラクターのコラボ作品となります。執筆当時の設定で書いている為、現在の設定とは異なる場合があります。

正直、物書きとしては不十分なので読みにくかったり描写不足があったり何なりいろいろとあるかもしれませんが、大目に見てくれると嬉しいです。

言い訳はこの辺にして、思いついた物語、雰囲気だけでもお楽しみください――

シェント vs シライ

雲ひとつ無い晴天の空の下、振り向けば視界いっぱいに広がる草原にひとつの人影があった。
その人影は比較的背の高い十七歳前後の男性で、黄緑色のセーターに革の上着、薄い黄土色のズボンに緑色のポーチが左足に。灰色のブーツはとある方向を向いている。
……アレグロ、まだかな。
視界の先にある森を見る。秘密の用事と言いながら一人で森に入っていったアレグロを待っている。アレグロは旅の仲間であり……俺にとっては失いたくない――大切な人。
さあっと風が横に吹いた。後ろでひとつに結っている長い銀の髪がさらさらと揺れる。
……遅いな。まさかアレグロに何かあった……?
急に不安を覚え、遊ぶように軽く持っていた斧槍(ハルバード)を左手でしっかりと持ち、森へと一歩歩みを進めた――――その、刹那。
鋭く冷たい気配のような『何か』を背後に感じた。
「――――ッッッ!!」
それは反射的だった。すぐに後ろへと振り向き、そのまま斧槍(ハルバード)を自身の身を護るように自分の前へと構えた。それを頭で理解する前に金属同士がぶつかり合う音が一度だけ響き渡った。
「勘が良いですね、シェント。」
知らない男性の声が前方から聞こえた。斧槍(ハルバード)を構えたまま前方を確認するように見上げる。少し離れたところに背の高い男性が不敵な笑顔で悠々と立っていた。その態度のせいだろうか、こちらよりは大人びて見える。薄紫の服に焦茶の上着、白のズボンに焦茶のロングブーツと決して明るくない色だからこそ、外にややはねた金の髪がとても映えた。しかし、それよりも映えたのはこちらに真っ直ぐと向けられている鈍色の短剣だった。
……あの短剣で俺を攻撃してきた?
「っ!?誰だ!?何処で俺の名前を――」
「私はシライ。〈ナ・リーゼ〉に聞けば科術士と科術使いの名前は容易に知ることが出来ますよ。」
こちらが言い切る前に相手……シライがすらすらと答えた。
……あー、科術と科器はライセンス制だからな。
それで。それで?
「あ、そ。で?失礼な君は俺に何の用だよ。」
斧槍(ハルバード)を自身の前方から左の横へと移動させながらシライに純粋な質問を投げつけた。シェントは声だけでなく態度も明らかに不機嫌だ。そうであるにもかかわらず、シライは不敵な笑顔とシェントに向けた短剣を何一つ変えない。
「シェント、貴方にはこの世界から消えてもらいます。」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。言葉の意味を理解した次の瞬間には困惑の感情があふれ出していた。
「な――!?何でだよ!?」
「貴方が科術使いだからです。」
シライはさも当然のように即答した。
「意味が分からねえよ。」
素直な感想を述べた。本気で何を言っているか分からなかった。
……何だよその理由。答えになってねえ。
軽い頭痛を覚えているシェントをよそに、シェントに向けた短剣を何一つ変えないままシライは一度小さく笑った。
「貴方の頭でも分かりやすく説明しますと、科術士および科術使いは『人の形をした化け物』です。化け物に生きる権利など無いことくらいは分かりますよね?」
すらすらと優しく諭すようにシライが述べた。
「言いがかりだな。科術士も科術使いも化け物じゃねえ。」
科術は科石を通じて精霊を“もの”として顕現させる技術だ。この技術を使う人のどこが化け物だって言うんだ。何もおかしなところなんて無いじゃないか。
「科学的に説明がつかないものを言いがかりとは言いませんよ。ああ、科術士や科術使いだけではありませんよ。魔族も含まれます。」
「――――ッッッ!!アレグロは化け物じゃ――」
自分が何を言っているかに気付いた瞬間、思わず斧槍(ハルバード)を持っていない右手で自身の口をふさいだ。
「アレグロ?」
「っ!」
ばっちり聞かれていた。自分でも分かるくらいにしまったと言う表情を隠しきれない。
「貴方と共にいる女性の名前ですね。彼女も科術士なのですか?〈ナ・リーゼ〉の方では記録されていませんでしたが。それとも魔族なのですか?」
「……。」
その問いに答えない。『答えられない』。
……言えるわけ、ねえだろ……。
アレグロが世界から排除される存在の魔族だなんて、そんなの言えるわけがない。
そもそもだ、俺とアレグロが一緒にいることを知っているだなんてシライはいつから俺たちを見ていたんだ。
「その無言、肯定ですね。ならば――貴方と彼女、二人仲良くこの世界から消えてもらいましょう。」
優しく、優しくシライは宣言した。
「――――ッッッ!!させるかよ――っ!」
シェントが左手で持った斧槍(ハルバード)の矛先をシライにまっすぐ向けながら右手を自身の口元に寄せるのと、シライが短剣を構えたままシェントに向かって素早く駆けるのは、同時だった。
「ルフ・ティヒウェル……テクス・ツァール・トハイト――!」
〈舞風〉の抽出呪文(ピックチューン)を素早く唱える。全ての音が消え去ったその後に、斧槍(ハルバード)を中心として強烈な竜巻が起こった。この〈舞風〉でシライを後方へ飛ばし、そこからさらに追撃を入れる予定だった。そうだと言うのに、シライはあろうことか自身に迫り来る強烈な竜巻を目の前にその場で足を止めた。そして、そのまま何一つ動揺することなく、素早く腰の左側にあるホルスターから銃を取り出すと、自身に迫り来る竜巻に向かって一発撃った。

リィン……ッ

鈴のような高く美しい音が響き渡った。そして――それと同時だった。――〈舞風〉が霧散したのは。
「な――!?」
……嘘だろ!?何だそれ!?こんなこと今まで――
ふっと急に目の前が暗くなった。はっとして目の前を見る。鈍色の光を振り上げる紫の瞳と――目が合った。
反射的に右腕を自身の前に持ってきた。ほんの少し遅れて鈍色の光が目の前で左右に何度も高速で移動した。それを理解した――直後。右腕に想像を絶する痛みがやってきた。
「――――っ!!あああああ――――ッッッ!!」
身体が勝手に震える。右腕に感じる妙な重さ、それが流れた血を吸った服の重さと理解するのに少し時間を要した。
「貴方が辿るべき道、理解できましたか?」
優しく諭すように述べるシライの声が近くで聞こえた。
「く、そ……っ!!」
自身の後方へと地を強く蹴りシライから離れようとした。が。
「逃がしませんよ。」
シライが容赦なく距離をつめてきた。その様子を見ながらもシェントはシライから距離を取ろうとする。
……隙を見てもう一度〈舞風〉だ!〈舞風〉を無効化したあの武器は弾を撃っていた。多分、数に制限がある。だったら何度も無効化できないはずだ!
ただ後方に飛び退くだけだったシェントが急に方向を変えてシェントにとっての左側に跳躍した。シライの動きが一瞬止まった。
……今だ!!
斧槍(ハルバード)をシライへまっすぐ向け、右手を口元に寄せる。
「ルフ・ティヒ――――ッッッ!?」
目の前を素早く横切った鈍色の光に思わず金の瞳を見開きながら口をつぐんだ。
「詠唱させませんよ。」
「っ!ちっ!!」
立て続けに来た短剣による攻撃を後方へ飛び退きながら避ける。攻撃をかわされたにもかかわらずシライは不敵な笑顔を一切変えない。
……このままでは埒が明かない。
距離を取りたいのに一向に取れる気がしない。だったら、やり方を変えるだけだ……!
斧槍(ハルバード)を両手で構え、シライの方に向かって駆けた。そして、横に向かって一気に薙いだ。
シェントの動きが急に変わったことに何一つ動じることなく、シライは自身の後方へ飛び退いて横薙ぎの斧槍(ハルバード)をあっさりと避けた。
「なるほど、科術だけではないと。」
「そういうことだ――っ!」
あくまで冷静なシライにシェントはさらに駆けて追撃を狙う。
「では――」
シライが、ふっと小さく笑った。次の瞬間、左手に持っていた銃を立て続けに二発撃った。撃たれた弾は斧槍(ハルバード)を持つシェントの左手に全て命中した。
「痛(つ)っ!?」
急な痛みに左手から力が抜けた。
……まずい!
あわてて力をこめようとしたが、それよりも先にシライが動いた。シェントに至近距離まで近付き、短剣で払うように斧槍(ハルバード)を横薙ぎに攻撃した。力が入っていなかったシェントの左手が斧槍(ハルバード)から離れ、傷ついた右腕で持つ斧槍(ハルバード)の矛先が地についた。
「――っ!!」
あわてて左手で斧槍(ハルバード)を拾い上げようとした時。
「銃(これ)は科術を無効化するだけではないのですよ。」
おそろしいほど至近距離でシライの声が聞こえた。思わず顔を上げる。鈍色の光を振り上げる紫の瞳が見えた。
――っ!避けられな――!!
後先のことなんて考えられなかった。反射的に左腕を自身の前に出した。左腕まで負傷してしまえば自分が一方的に不利になることは分かっていた。
……負けられない…………アレグロを一人に、させない…………っ!!
鈍色の光がシェントの首に向かって振り下ろされる――はずだった。
ヒュッと鋭く空を切る小さな音が背後から聞こえた。それとほぼ同時だった。目の前にいたシライが急に大きく後ろに跳躍し、着地してすぐ続けて大きく左へと跳躍した。二度目の跳躍で着地すると同時に、先ほどまでシライがいた位置に何かが高速で飛来した。まっすぐ飛来してきた何かは空を切ってそのまま地面に刺さった。
――っ!棒手裏剣(スローイングナイフ)――っ!?
シライのことを忘れて思わず後ろへ振り返った。
「……。」
無言のままシライを睨み付けるアレグロが少し離れたところにいた。
「化け物が増えましたか。」
あくまで冷静なシライの声が聞こえた。その声にはっとしてアレグロからシライへと振り向き直す。ついでに左手でしっかりと斧槍(ハルバード)を持ち直した。
シェントとアレグロの突き刺さるような視線を浴びてなお冷静でいたシライがふと自身の左手に持つ銃をちらりと見た。そして、ふうと小さく嘆息した。
「今回は貴方たちの抵抗を認めてあげましょう。ひと時の安息を楽しみなさい。」
そう言い残してこちらに背を向けて何処かへと去っていった。
……何だったんだ……。
とりあえず去った脅威に安堵して無意識のうちに大きなため息が出た。
「……シェント。」
アレグロがいつもの声音で声をかけてきた。その声にアレグロの方へ振り返る。
「……今の、何。」
「俺にもよく分からねえ。」
あまりにも急だった。正直、何がなんだかよく分かっていない。ただ、ひとつだけ分かったことがある。
……シライはいつかまた、俺とアレグロの命を狙う。……確実に。
あの紫の瞳に嘘偽りは無かった。あの殺意は本物だった。
「……シェント?」
いつの間にかすぐ近くまで近寄っていたアレグロが覗き込むようにシェントを見上げた。そのアレグロを見て――左手に斧槍(ハルバード)を持ったまま、アレグロを包み込むように正面から抱きしめた。
「……?……シェント?」
「……絶対、俺が守るから――。」
口ずさむように小さく言葉を紡いだことにシェントは気付いていただろうか。アレグロはシェントの抱擁を拒むことなく――小さく、小さく微笑んだ。

さいごに

ここまで見てくださり本当にありがとうございます!

シェントくんの作者様に感謝と謝罪を。機会を与えてくださり本当にありがとうございます!楽しみながら書きました!そして、本当にごめんなさい!?拙い文章であること、何よりシェントくんがひどい目に遭ってしまってごめんなさいー!?

二次創作文章とか初めてだからどきどきしました。拙い文章ですがせめて雰囲気だけでも楽しんでいただけたらと思います。