どうも、ふーらいです。
以前、KindleアプリのPC版を偶然見つけ、インストールすることができました。
このおかげで、いまや私も電子書籍人の仲間入りです。Kindle人です。
KindleといえばKindle Unlimited。月額980円でいろいろ読み放題!
なんてサービスもあるにはあるのですが……
実はAmazonプライム会員にも読み放題があるんです! その名もPrime reading!
プライム会員で、かつKindle本なら読み放題です。
ホント、プライム会員のコスパは素敵。まさか本まで読めるなんて思わなかったぜ……んじゃ、早速読んでみよう何か!
ってことで早速色々見てみたんです。
いやはや、いろいろありますね。
月額にしたって400円のプライム会員で、本もこんなに無料で読めるとか凄いなぁ、とか思っていたらですね、目に止まるタイトルが――
『仕事は楽しいかね?』
「じ、人生で一度も思ったことがありません……ッ!!」
もう中のレビューとかいいんでジャケ買い!(Prime readingで無料ではありますが)
気になるよこのタイトル……!
というワケで、実はほぼやったことない書評とやらをやってみようと思います。
なお、この記事の引用はすべて
デイル・ドーテン『仕事は楽しいかね?』 (きこ書房、2001年)KIKOSHOBO. Kindle 版
からの引用となります。Kindle版ですので、ページ表記は略します。
ビジネス書だがストーリーで引き込まれていく
まず、この本はビジネス書です。
「こういう気の持ち方で上司からの叱責をかわせ」みたいな精神論は書かれていません。
ですので、これを読んだその日から、気持ちを切り替えて楽になるようなタイプの本ではありません。
日々をどう生き、考えることで、どのように自分の所属する組織で仕事をしていくのか、または新しいビジネスを見つけ出すのかを、実践できる方法そのものと一緒に書いています。
ビジネス書といっても、この本はストーリー形式になっています。
固い文章が続いたり、作者の営業自慢が始まったりというありがちなクソ展開は一切ありません。そんなクソ展開あんのかと思う人、意外と多いんですよこういう本には。
出張の帰り、大雪で飛行機が止まり、足止めされてしまったサラリーマンである「私」は、予定を崩されてイライラ半分、憂鬱半分でグッタリ。
周囲も同じくして怒りやため息が広がるそこへ、そんなことお構いなしとばかりに、元気な子どもたちと遊びはしゃぐ老人と出会います。
とてもそんな気分になれない「私」。しかし、子どもに振り回されて息を切らせた老人は、なぜか「私」のところへやってきます。
面識もない。接点もない。隣に座り、くだらないジョークを飛ばしたかと思えば「私」を質問攻めします。家族のこと、仕事のこと、住んでいる場所のこと――
なぜ、よりによって滅入っている自分のところへ来るのか。
うんざりしていると、老人が最後にこんな質問をします。
「仕事は楽しいかね?」
実はこの老人、発明家、起業家として巨万の富を築いた人物。
様々な企業家や政治家が、お金を払ってでもアドバイスを求める、高名な実業家だった――
こうして、ふたりは妙な巡り合いから、お互いの仕事に対する思いを語り合います。
「私」の企業で働く者としての現実や疑問と、成功した実業家としてそれを聞き、アドバイスをしていく老人。
同じ現象をふたつの視点で見る物語です。
「私」の気持ちがめっちゃ分かる
この「私」なんですが、ものすごく理屈派です。Aを得るにはまずaとbとcをクリアして、最終的にAを得る――といった思考をしています。
分かるぞ、その気持ち。
さらに
「私」は一度、友人と共に事業を起こして失敗しています。
うん。
もうめっちゃ分かるよその気持ち!!
なんか主人公と妙にシンクロするんだよこの本!
たとえば「私」は、事業や人生を成功に導くために、目標を設定するべきだと言います。
別に「私」に限ったことではありませんよね。
自己啓発本を見るまでもなく、目標は持つべき指標と教わってきています。
しかし、老人はバッサリ言っちゃいます。んなもんいらねーと。
「人生は進化だ。そして進化の素晴らしいところは、最終的にどこに行き着くか、まったくわからないところなんだ」
きみは、最初に陸にあがった魚は
長期にわたる目標を持っていたと思うかね?
老人は「学校の授業とは違う」と言います。
つまり、ある課題をクリアして、評価Aを取るような考え方は学生の考え方であり、人生や仕事といったものは、そんな枠組みの中にあるものではないという持論を展開します。
「ここをごらん。きみがこの紙のリストにあげた〝自分の人生をきちんと管理すること〟という項目を。ハハ! 人生はそんな扱いやすいものじゃない。僕は人生の中で何をすべきかなんて、問いかけなくなった──どうせ、人生なんて思いどおりにはならないからね」
人生はコントロールできない――確かに、この言い分にも納得できます。
ある日病気になるかもしれないし、会社は倒産するかもしれない。私たちは今まさに、全くコントロールできない人生を生きています。
また「私」は、他の成功した人々を真似るべきであると主張します。
わざわざ失敗の可能性を自ら踏みに行く必要はない、成功している人を真似ることで、より効率的に成功を引き寄せることができる、と。
しかし、老人はこう言います。
成功するというのはね、右に倣えをしないっていうことなんだ。
こう表現しておこう。ピカソの絵の写真を切り抜いてコピー機にかけても、ピカソにはなれない、とね。
こうして、理屈派の「私」の価値観は揺らいでいきます。
「私」に限らず、読めば多くの人が疑問を抱く物言いでしょう。この老人の言うことは、ちょっと極端過ぎますからね。
老人はあれもするな、これもするなと言ってるようにも見えます。
目標なんていらない、成功者を真似ることもない……では、何をすべきなのでしょうか?(この問い方も老人からすれば「理屈っぽい」と言われてしまいそうですが……)
試してみることに失敗はない
老人は一貫して「試せ」と言います。
試してみることに失敗はないと「私」に、いろんな成功した人たち(ビル・ゲイツのような事業家から、スポーツ選手、演奏家まで本当に多岐に渡ります)の話を出しながら、とにかくこれを訴えます。
そもそも、この本の目次からしてそうです。
試すことがタイトルになっている目次
- 第3章 試してみることに失敗はない
- 第6章 必要は発明の母かもしれない。だけど、偶然は発明の父なんだ
- 第7章 きみたちの事業は、試してみた結果失敗に終わったんじゃない。試すこと自体が欠落してたんだ。
- 第14章 きみが「試すこと」に喜びを見い出してくれるといいな
第14章はこの本の最後の章。つまりは、もっとも伝えたいことです。
目標を持ったり、成功者を真似たりするのではなく、とにかくなんでも、何度でも、試してみること。
試し続けるならチャンスは訪れる。
頭にたたき込んでおいてほしい。何度となく〝表〟を出すコインの投げ手は、何度となく投げているのだということを。そして、チャンスの数が十分にあれば、チャンスはきみの友人になるのだということを。
試すこと。
いろんなことを試行錯誤して、あっちこっちに身体をぶつけて跳ねながら、投げ続ける。
投げ方を変えたり、コインを別にしたりしてもいい。とにかく投げて、投げて、投げ続ける。
そしたら、
たまたま10回連続表が出る。これが成功。
ちなみに、10回連続表が出る確率は1/1024。とんでもない確率です。
普通に考えたら、そんなのは無理難題です。
でも、もし500回、1000回、2000回投げたら……出るかもしれないんですよね、10連続表。
これをコイン投げのプロかといえば、そうじゃない。試しまくっただけ。
では、こうやって試し続ければ、老人の言うことを全部やれば、仕事でも人生でも大成功を収めるのか!?
失敗する確率が9/10から8/10になる
「僕のアドバイスに従って、 模倣の代わりに革新を心がけ、昨日と違う自分になろうと日々努力するなら、きみは可能性を高めることができる。 もう、十回中九回も失敗するなんてことはない……」
「きっと、十回中八回で済むよ」
えっ?
これには本の中の「私」もさすがにがっくりきています。今までの話はなんだったんだと。
しかし、老人はあくまで「私」に対し、非常に低い成功確率を少しでも高め、逆にリスクはしっかり抑えて、何度でも挑戦できるようになって欲しいと言います。
でも私思うんですが、ここって同時に
老人を信用できる瞬間
なんですよ。
世の中に絶対なんてありません。
「○○をすれば絶対儲かる!」なんて嘘っぱちですし、仮に儲かったとしても、ずっと同じことをして食っていける世の中ではありませんよね?(→他人が教えてくれる「稼げる話」は全部ウソだ)
この老人が「100%成功するよ!」なんて言えば、あっという間に怪しい詐欺商法の完成ですし、かといって「これをやっても成功するとは限らない」とだけ言われてしまうと、なんだかこの先の話を聞く意欲がなくなります。
失敗が「十回中八回で済む」ようになること。
この数字を出すのがミソというか、嘘でもないし、それでいて先は聞いてみたくなります。
この辺の老人のトークが凄く上手い。もっと読みたくなります。
ビジネスでの成功は規模によりますが、モノによっては宝くじレベルか、それ以上になる可能性もあります。
そう言われると、命中率20%は全然悪くない気がしてきますよね。
まとめ
- 試そう! 気軽に! 何度でも!!
老人の言う目標を設定しないことや、成功者を追わないことって、実はそれを設定して試すのって大変だからでは? というのが私の持論です。
だって、準備がメチャクチャいるじゃないですか。
目標を立てて始めようとすると――
目標を立てて始める例
- まず目標を立てよう
- どんな目標にしようか
- 目標はどの辺にするのが最適なのか
- 先人から聞いてみよう
- なるほどこういうデータが得られた
- じゃあこの中から最適な目標設定をして
- よし、じゃあ試してみよう
……うん、こんなの試すどころじゃなくなります。
一方、試すだけならこうですよ!
試すだけの例
- 試してみる
簡単! 早い! すぐできる!! レトルトのCMみたいになった。
試すといっても、何の興味も関心もなければ試すことすらできません。
なら興味関心が出た瞬間に試すのがベストですが、それに下手な前提条件をゴテゴテくっつけたら、できることもできなくなります。
最初のハードルは下げておいた方がいいと思うんです。
もちろん、本の中では何を、どう試すのか。それにより何を学ぶのかもキチンと書かれています。実際に行う行動まで書かれているので、まずは老人の言うとおりに行動してみればOKな一冊です。
私もさっそく、メモを用意して書いて、実践してみてるよ!
ふたりの会話を物語として読むことで楽しみながら、読む人なりの試すことを見つけていける本です。
とても良書でした。
元の値段は1400円程度ですが、最初に書いたとおりAmazonプライム会員でかつKindleが読める環境さえあれば、無料で読むこともできます。
時間さえあればぜひオススメです。
というか本が1400円でプライム会員が月400円って、値段設定がワケわかんねぇなコレ。
最後に。
「時間さえあれば」と書きましたが、老人はこう言っています――
〝適切な時〟とか〝 完璧な機会〟なんてものはないということ。
これは〈この場で〉〈ただちに〉始めるという ことだ。
ですので、興味が湧いた方。今すぐ! 興味は「試す」チャンスだぞ!
以上だ! また会おう!!