去年の中頃から、午後の紅茶に夢中になった。
王道のストレート、ミルク、レモンに加え、フルーツティーや無糖もある。「午後ティー」の愛称で知られている。私はレモンがお気に入りだ。
2021年に紅茶事業から、リプトンでお馴染みのユニリーバが撤退することになった。リプトンが完全に消滅した場合、日本のペットボトル紅茶は完全に午後ティーの支配下となる。
紅茶花伝がまだ残っているが、時間の問題だろう。戦力が違いすぎる。
午後ティーは美味しいしリーズナブルだ。コンビニで売ってない店舗を探す方が難しいし、スーパーでは定価より安く売られていることの方が多い。
だからこそ、注意しなければならないことがある。
午後ティーと午前ティーは別の概念である
▲ペットボトルで販売される午後ティー達
改めて言うが『“午後の”紅茶』である。
これだけデカデカと“午後”と書かれている飲料を、午前に飲むような愚者はまずいないだろう。しかし、ほぼ午後だろうと午前11時58分頃に飲み始めたりする可能性は多いにあり得る。
2つの単語が並んで1つの単語を意味する時、先に出た単語が要素の中心となる。文章にすると分かりづらいが、例えば『カレーライス』だ。
カレーライスと聞いて、ライスをメインで想像することはない。まずカレーが来て、次にライスだ。あくまで中心はカレーであり、ライスはカレーを盛り上げるために付属しているオマケである。
『メロンソーダ』の中心はメロンであるし、『プレイステーションネットワーク』の中心はプレイステーションだ。『グランブルーファンタジー』の略称はグラブルである。
つまり、『午後の紅茶』の中心は午後である。これを午前に飲んでしまうと、午後ではなくなる。これは午前の紅茶だ。午前ティーである。
「飲む時間が違うだけで、同じ紅茶でしょ?」などという疑問はありえない。「『カレーライス』と『ハヤシライス』はライスが同じだから、同じ食べ物である」なんて詭弁を誰が使うのか。
もちろん、午前ティーが悪いのではない。午前ティーと午後ティーは別の概念である、ということを認識して飲まなければならないと言うだけのことだ。
常に意識を持ち続けよ
何故なら、午前ティーと午後ティーに一切の差を感じないのならば、それはカレーライスとハヤシライスの差を認識出来ない人間になってしまうからだ。
こうなってしまうとお手上げだ。オムライスも、チキンライスも、トルコライスもただのライスになってしまう。そのうち『オニオンスライス』までライスに見えてくる危険性すらある。
もちろん、ティーも認識出来なくなる。つまり、紅茶も緑茶も麦茶も、すべて同じとなってしまう。紅茶のCMに笑福亭鶴瓶氏が起用され内容量が650mlになっても、何の疑問も感じなくなる。
そうならないためにも、我々は常に意識を持ち続けなければならない。刀も研がなければなまくらになる。脳を滾らせ神経を集中させてこそ、午後ティーを午後ティーとして飲むことが出来るのだ。
もっとも、ずっと神経を尖らせると疲れてしまう。そんな時は、せめて時間を確認して飲んで欲しい。「今は午前だから、午前ティーだな」と。
ちなみにだが、午後ティーを口に含んだ状態で0時を跨いだ場合、口の中のティーは午前か午後かという問題は未だ解決されていない。
この件についてWHOの幹部は「余計な火種を増やすべきではない」として、言及を避けている。
記者:ふーらい(ふーらいの思うこと)