どうも、ふーらいです。
精神障害が改善してきて、ちょっと働いて社会復帰してみようかとなるとブチ当たるのがこの問題。
当事者だった&そういった人たちを支援する仕事を経験し、ハローワークの障害者担当の人とも色々話したことがある、私の見解を書きます。
ここに書いてある多くが、私自身の失敗から学んだことなので、是非ここを読んでもらって、過去の私のような遠回りをひとりでも多くの人がしないで欲しいと思います。
なお、ちょっと厳しい話も書いてあるので、現在調子があまり芳しくない方は、これ以上読まずに、別のところでゆったり過ごしてください。
この記事は「精神障害はあるけど、そろそろ働きたい」とか「働くのは決定だけど、オープンかクローズかどうしよう」という人向けの内容です。
また、この記事はどちらかというとアルバイトからフルタイムを目指す、もしくは、アルバイトで少ない時間の労働と治療を同時進行する方向の考えで書いています。
最初からフルタイムでの復帰は症状にもよりますが、私はオススメできません。
まずオープンとクローズとは
オープンとは、精神障害があることを求人に募集する時点で、企業側に公表することです。クローズとはその逆、障害であることを公表せず応募することです。
なお、障害者手帳を取得して障害者求人を利用する場合は、これを考える必要性はありません。オープンにしないと何の障害なんだよ! ってなっちゃいますから。
それぞれのメリットとデメリット
オープンで採用されたら安心して就労できる
まず「障害があってもいいよ!」と雇用先が言ってくれる時点で、たとえば――
- 定期通院に必要な休日を簡単に取得できる
- 勤務形態にも要望を言いやすい
- 調子が良くない時に相談しやすい
- 企業側に嘘偽りなく話しているので気が楽
このようなメリットがあります。特に、通院のための休みを取得できるのが大きいです。毎回、通院のためにウソをついて休むのも楽ではないので……
また、後ろめたい感情を持ってしまいがちな人は、一切嘘偽りなく情報を出すこと自体が、結果的に精神的な安定をもたらすことも少なくありません。
一方、デメリットは1点だけ。
オープンだと精神障害NGな企業には採用されなくなる
ただし、この1点は非常に重いです。
まず、求人には「精神障害はNG」なんて書くことは禁止されています。当然、応募の制限も出来ません。書類にせよ面接にせよ、応募する権利はあります。
しかし、実際のところ精神障害を取る気がない企業は少なくありません。そういった企業に応募する場合、当然のことですが不採用通知が返ってくるだけで、労力の無駄になります。
Google先生の検索結果は、若干グロ画像です。
企業側も色々検索したくなる現象のようです。
これは精神障害に限りませんが、精神はこの率が高くなります。その理由と改善法は後述しています(目次 – 採用担当者が最も望んでいるのは「休まず働いてくれる無難な人」)
すると、クローズで行く時と比べ応募数に対する成功率が大幅に落ちます。
俗にいうお祈りメールばっかり届くのですが、これはかなりメンタルにダメージがあります。そもそも「就職うつ」なんて言葉があるくらいでして。
「6月1日に第1志望の銀行の内定をいただきましたが、不安なんです。1つ上の先輩は入社してすぐにうつになって。それでもう辞めるというものですから。明るい先輩だったのに、自分は大丈夫だろうかと」。早稲田大学4年生の男子学生はこう明かす。東洋大学の4年生の女子学生も「友人の話ですが、就職後にうつと診断されて、治療を受けています」という。
健康な人が、その健康を損なうレベルなんですよ。もちろん、考え方を変えたり相談相手を増やして、上手く乗り越えていく人もたくさんいます。
あえて逆に言えば、健康な人ですら「応募→お祈り無限コンボ」はキツい作業なので、気分的に凹むことがあっても「そりゃそうだよなぁ」と思うことで軽減して欲しいところ。
「ダメ人間だから~」とか、そういう問題じゃないことですから。
また、希望する職種や業界が明確な場合、その職種や業界で、通勤可能範囲内の全求人からNGが出ると、今後のモチベーションはかなり下がってしまいます。
住んでいる地域にもよりますが、精神障害の人でこの状況に陥ったケースも知っています。
クローズならこのメリットとデメリットは逆転
就職活動の成功率や仕事の幅は広げられますが、当然、一般の人と同じ程度の仕事を求められることになります。
病状が安定している人でも、時々調子を崩す時もあるし――という、不安はなかなか拭えない部分です。
ですので、やはり皆悩みます。私も悩んで結局両方とも試しました。
が、その前に。まず先に言った「なぜ企業側が精神障害を嫌がるのか」について触れます。
採用担当者が最も望んでいるのは 「休まず働いてくれる無難な人」
企業は求人を出して、書類なら審査をして、面接なら場所と時間を設けています。
ハローワークの求人は無料ですが、それ以外に出している場合は有料。採用しようが不採用にしようが、常にコストがかかっています。
さらに採用したなら、たとえアルバイトでも追加でコストは発生します。
就労直後は戦力外ですが、給料はせいぜい試用期間扱いでプチ低い程度で、仕事量に対し大きい給料を払う期間があるということです。正社員ならさらにいろいろとかかります。
この前提を踏まえた上で。もしあなたが採用担当者だとして――
- これといって突出した能力があるワケではないが、職場に安定して来れる人
- 突出した能力があるが、職場に安定して来れそうにない人
というふたりのうち、どちらかを取らねばならないなら、どちらを採用しますか?
もちろん、途中で辞めてコストが余計にかかったら、あなたが結構キツめに怒られます。評価に響くかもしれません。
無難な方を選びませんか?
精神障害は時に、本人にすら分からない理由で能力が落ちたり、働けなくなることがあります。また、お客様の前で妙な行動でもされたら、企業そのものの信頼も揺らいでしまいます。
不安要素があることは、就労に関してどうやっても不利です。
精神の場合はそれを予測し辛いんですよね……下手をすると本人にすら先が読めない。
身体障害のようにサポートすべき箇所が目に見えるワケでも、軽度の知的障害のように、苦手な部分が明確なワケでもありません。
この状態の人を採用するのは、採用担当者の心をかなり掴まないと難しいのです。
――と、絶望するのはまだ早いです。逆にこの問題をクリアにすればいいんですよ。
両方試した私の持論
大前提:クローズでもいける程度に病状を安定させる
オープンで行こうという選択肢は多くの場合、病状に不安が残るから出るワケです。
もちろんその不安を完全にゼロにすることは不可能です。それができるなら、もう障害じゃなくなってますしね。ただし、この不安を可能な限り抑えることが求められます。
まず、主治医から短時間勤務の許可が取れる程度に回復しましょう。ここがダメなうちはダメです。しっかり休んでください。ここで無理をすると余計に悪化して、復帰に更に時間がかかります。
特にうつ病は、再発率が高いことで知られています。その再発率は、再発する回数に比例してどんどん高まります。
元の再発率は50~60%程度と、これでも十分高いのですが、3回以上うつ病と診断された人が再発する率は90%というデータもあります。長期化させないためにも、無理は禁物です。
通院と服薬をしっかりコントロールし、主治医と相談を繰り返し、生活リズムを一定に保つ――難易度は高いのですが、ここまでできると病状はかなり安定してきます。
外に出ている間は多少調子が崩れていても、とりあえず行動できるようになれば大丈夫。
帰宅してからぐったりしちゃうくらいは、もう仕方ないです。
そりゃ帰宅後も元気ビンビンにできれば最高なのですが、そこまで問題がないのであれば、最初から悩みやしませんよね? やってるうちに慣れてくる可能性も高いですし。
いずれにせよ主治医と相談し、症状や自分の気持ちを上手くコントロールすることが求められます。
次に、仕事をする上での不安の解消法。
通勤や仕事のシミュレーションをする
仕事をした結果、病状がどうなってしまうのか――それは誰にも分かりません。
特に問題なのは、毎日同じ時間に起きて出勤すること。私にはこれが仕事内容より大変でした。
そこで、通勤のシミュレーションをしましょう。意味なく公共交通機関でも、車でもいいので外出。30分くらいかかる目的地に出かけて、その後帰宅してみるのです。
朝から働きたい人は、朝の8時くらいに実行するのが理想です。が、どうしても朝が辛い人は時間を決めて、その時間にトライしてみましょう。
仕事も、その決めた時間くらいから始まる仕事を選べばいいだけです。
しかし、あなたが主治医の太鼓判を貰い、さらに選んだ仕事に採用されるレベルなら、そこまで心配することはないとも思います。
この行動は「あれ、意外と動けるじゃん」という自信を持つことが目的です。
仕事の時間が不安なら、外出ついでに寄り道をして時間を潰してみるのもいいでしょう。
家の中、車の中という自分だけの空間から一定時間飛び出すことで、多少なりとも自分の調子を知ることができます。お店をなんとなくウロウロしたり、公園を歩くのもいいですね。
できる範囲の時間から行い、少しずつその時間を伸ばしていくと、自信に繋がります。
何故自信という面を推すかというと、社会では自信なくオドオドしているのは、かなりのマイナス要素だからです。
自信満々になれとまでは言いませんが、震える小動物のようでは厳しい。こういったシミュレーションでの自信は、ふとした時に震えない対策です。
面接や仕事の時の、細かい行動や動作が違ってきます。
その上で、オープンかクローズか
さて、ここまで回復すればぶっちゃけ好みです。「どっちかしか選べない!」ではなく「どっちを選んでも問題ない!」状態になっているワケですからね。
クローズで行く場合の問題点の大半を整理しているので、クローズで行っていいと思います。正社員ならともかく、アルバイトやパートタイマーの仕事なら、休みも適当に取れます。
バイト・アプリはタウンワーク
Recruit Co.,Ltd.無料posted withアプリーチ
定期通院を誤魔化す時は「親族(親、夫妻、子供、親戚)の定期通院がある」という言い訳がベストでしょう。
確認しようがないですし、そこをやたら追求してくる企業は怖過ぎなんで辞退した方がいいと思います。
でも、やっぱり不安が勝っている、企業側に嘘を言うのがどうしても心に来るという人は、オープンで行くことになります。
それにはまず実績を作りましょう。
オープンで行くなら、採用担当者の不安を払拭しよう
たとえば、どんな障害であれ就労移行支援を利用できます。
障害者手帳がなくても大丈夫です。それぞれ移行支援とA型があります。これらは、一般就労は難しいが就労を目指す方を対象としたサービスです。
移行支援は雇用契約は結びませんが、仕事に必要なコミュニケーションスキルを始め、様々な能力を育ててくれるサービスです。
A型は雇用契約を結び、実際に仕事をして給与を貰う仕組みです。この辺はGoogle先生に詳しく聞いてみて下さい。事務所によって、得意とするところや作業内容に違いがありますので。
ちなみに私がオススメする理由は「ここで技量を高めてね!」ではありません。もちろん、スキルの上達や仕事をすることに意味はたくさんありますが、そこがメインじゃないです。
一応、強いて言えばストレス耐性と対人コミュニケーションだけはしっかり学んだり、仕事をすることで底上げしておくことをオススメします。
ではメインの意味とは何かと言うと――
こういった事業所に安定して通っている、という安定の実績と証拠を作るんです。
「私は現在ここに安定して通っていますので、御社でも安定して働くことができます」
ここを売りにするんです。事業所次第では面接に同伴をお願いもできますし、そこで第三者にあなたの状態を証言して貰います。
就労移行支援やA型を使うには、ハローワークの障害者窓口へ相談に行くと良いでしょう。ネット上でも就労移行支援で検索することで、さまざまなサービスを探すことができます。
短時間のクローズアルバイトという手も
そんな障害向けサービスの利用はいらない! という人なら、たとえば週20時間未満の短時間勤務のアルバイトもオススメです。
アルバイトとはいえ、キチンと会社で仕事をしているので、会社の担当者によってはこちらの方が安心感が大きいかもしれません。
問題は、この短期間アルバイトをオープンかクローズか、という堂々巡りになってしまうことですが、コレに関してはクローズで行く方が良いです。
というのも、企業が障害の人を雇用する場合は原則、週20時間以上の勤務でないと意味がないからです(目次 – 勤務時間は週20時間以上か30時間以上か)
また、短時間でもクローズで行ければ、それだけ自信に繋がります。
とにかく大事なのは、障害の状態が安定していて、出勤も安定して行える実績なんです。これがあれば、精神障害でも他の障害の人と同じか、それ以上に印象は良くなります。
もちろん、障害者求人での応募でもこの手は有効です。同じ障害を持つ人が来た時、実績のあるなしは響きますよ。
健常者もここを気にしている!
なんの障害もない健常者も、この不安要素を払拭するのに苦労しています。
「新卒で1度入った会社は、3年は勤めるべき」という話がありましたね。今はブラック企業ブーム(?)でこの言葉は否定されることが増えましたが、なぜ、3年勤めるべきなのか。
履歴書を見た企業は確実に、こう聞くからです。
絶対に聞きます。そして、たとえどんな答え方をしてもプラスにするのは難しいです。なぜなら、短期間で辞めたという情報を得た後のこの質問は
「この人、うちも短期間で辞めるんじゃね?」
という探りだからです。短期間で辞められると、先に挙げた通りコストばかりかかって、会社のためにも、より確実に言えば、採用担当者のためになりません。
長期働いて来た人と、短期で辞めた人。どちらを取るかは一目瞭然です。
もちろん3年の基準にはそれ以外の理由もあるのですが、短期間で辞めることは確実に、次の就職の際のプラスにはなりません。
答え方次第で、マイナスを限りなくゼロに近づけることができるだけです。
面接対策を語るサイトや本はたくさんあり、短期間の仕事もプラスに変える方法が書かれていますが、実際は、よほどそれで持ち味を活かせる強みのある人しかプラスにはなりません。
だからこそ、短期間で仕事を辞めることを「履歴書に傷が付く」というのです。
こんなの日本だけらしいけど……でもここ、日本だからなぁ……
似たような話に、空白期間がある場合が挙げられます。
仕事を辞めてしばらくNEETしてた場合や、辞めた後の転職期間が長くなっている場合「ちゃんと新しい環境に適応できるか」という不安要素があります。そして、こう聞かれます。
オープンの際に面接で聞かれること
よく面接本などで見るテンプレートは、話半分くらいで構いません。自己PRや志望動機くらいはちゃんとしたほうがいいですが、これらの情報は――
- 健常者の人
- クローズでの就労
- オープンではあるが元々ハイスペックだった人
の面接の際にしか役に立ちません。では、何を聞かれるかと言うと、こんな内容です。
- 服薬、通院の頻度
- 症状の原因
- 現在の症状
- その症状に対して行っている対策
- 主治医の意見(ハローワークからの求人の場合「主治医の意見書」が証明になります)
- 対人コミュニケーションは大丈夫か(社内で上手くやっていけるか)
- その他、配慮して欲しいポイントはあるか
こんな質問が来ることになります。つまり、障害、特に精神の人が面接で求められている能力とはとにかく「長く勤められるか」という相手の不安を払拭することなんです。
具体的には、こんな感じで答えてみましょう。下記はもちろん一例です。
服薬、通院の頻度
「2週に1度通院しています。服薬は朝と夜、寝る前で、全て医師の指示通り服用しています」
素直に答えましょう。休日とか整えてもらえます。
定期通院と服薬をしっかり守っていることを必ず伝えて下さい。これらの情報は、あなたが病気を自分でコントロールしようと尽力しているアピールになります。
症状の原因
「以前の職場での労働時間が非常に長く、夜中に帰宅しているのに、まったく眠れなくなったのがキッカケです」
この辺が普通の対策本とは違う点。前職を攻撃するのは良くありませんが、そこが原因なら、原因については言ってしまって構わないでしょう。
「長時間働けないなら必要ない」という相手なら、こちらから願い下げですから。
原因がよく分からない、という人もいるとは思いますが、ここを答えた方が印象は良くなります。「自分で自分の病状を理解しているんだな」と相手に感じて貰えればOKです。
現在の症状
「1度悩みだすと、そのことばかり、しかもネガティブに考えてしまって、集中力が欠けることがあります」
これもある程度素直で構いませんがコミュニケーションが取れない、取れなくなる系はNGです。なるべくコミュ力が下がる以外の症状を説明に出しましょう。
精神的に下がるとコミュ力が落ちるのは皆、大なり小なりありますから。気にしないで。
その症状に対して行っている対策
「メモ帳に悩みを書き出すことで、頭の中で堂々巡りしている考えを止めて、再び集中するようにしています」
先の問題をどう自分なりに解決しようとしているか、を答えます。これも、自分で症状をコントロールしようとしているアピールポイントですね。
主治医の意見
「主治医とも相談し、1日4時間程度の勤務なら問題ないと言われています」
あくまで病気のことなので、本人のやる気や能力ではどうしようもない部分があります。会社は病院ではありませんからね。
いざ病状が悪化したら……という不安を取り除くのが、この質問です。「専門家がこう言ってるよ!」というのは、どこでも強力な証言です。
ハローワークからの障害者求人の場合「主治医の意見書」という書類を主治医に書いてもらう必要があり、これがそのまま証明になります。
対人コミュニケーションは大丈夫か
「人と話すこと自体は好きなので、問題ありません」
出たぜ、コミュ力のチェック!
現在の症状の項目で話した通り、ここは無難な解答で通過した方がいいです。
そんなに好きじゃない人、分かります。むしろ話したくねー! って人、気持ちは痛いほど分かるんです。私も仕事で話すのクソ面倒なんです。
でも、ココで苦手って言っちゃうとマイナスが次元を超えるんです。
コミュニケーションが取れないと宣言してしまうと「職場の空気が悪くなるのでは?」と感じさせますし、上司があなたの状態を把握することが困難になってしまいます。
相手にとって「長く勤められるか」が重要であることを、忘れないでください。
その他、配慮して欲しいポイントはあるか
「業務上では今のところ特にこれといってありませんが、通院が2週間に1度あるので、その日は午後からは出勤ができません」
「実際に働いてみないことには分かりかねますが、何かあればその都度、相談させていただければと思います」
最初のがちょっとキレイ過ぎる例文かもしれないので、ふたつ。
配慮して欲しいポイントがあるならしっかりと伝えた方が、相手も安心します。どうしてもコレがダメ! という案件がある人は、それを答えればOK。
「同時に複数の指示は混乱する」「大声で怒鳴られると萎縮してしまう」辺りが王道ですね。
ここで「まったくありません!」と、本当にそう思って答えたとしても、相手にはちょっとした不安材料になります。
何の配慮ポイントもないのに障害者手帳を持つことは、矛盾しているからです。
かといって、精神で配慮して欲しいことってぶっちゃけ分かんないんですよね……
「大声で怒鳴られると萎縮してしまう」とかにしても、そりゃ誰でも萎縮しちゃうしなぁ……かといってコミュ力関係は使えない。
パッと何も思い浮かばないようなら、最初の文のように通院のことを重複する形で伝えるのが良いと思います。
勤務時間は週20時間以上か30時間以上か
企業が障害の方を雇用する際、勤務時間が重要になります。まず、企業には障害者雇用率制度というものがあります。
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)
民間企業の法定雇用率は2.0%です。従業員を50人以上雇用している企業は、身体障害者又は知的障害者を1人以上雇用しなければなりません。
法定雇用率を上げるため(もちろん、純粋に障害の方を支えたい企業もたくさんあります)に障害の人も積極的に取り入れてね、というワケです。
この際20時間以上の勤務で0.5人として、30時間以上で1人としてカウントされます。
ですので、単純に考えれば30時間以上の勤務を選んだ方が企業的には受けが良くなります。逆に20時間未満の場合は、オープンにしても雇用される率がかなり低くなります。
これが「短時間アルバイトならクローズで」の意味です。
ただし、これはあくまで企業側の理由。あなたの病状に合わせた時間を選択してくださいね。
フルタイムや正社員を目指すなら 手帳を取得して障害者求人を
もし貴方がハローワークを始めとする障害者求人を利用しようとするなら、当然オープンで行くしかありません。
しかしながら、障害者求人の利用はメリットしかないです。これだけの為にも障害者手帳は取った方がいいよ! と言いたくなるくらいに。
というのも近年、精神障害者の雇用は増加しています。以前は障害者雇用≒軽い身体障害の方専用求人でした。しかし当然、そんな都合の良い障害の方は少数です。
企業は今、働ける障害者を求めています。
先の障害者雇用率制度以外にも、企業が障害の方を雇用するための制度はいくつかあり、大手ほど働ける障害の人が欲しいのが現状です。
大手ほど、欲しいんです
(大事なことなので2回言います)
確かに、精神障害は就労に関して難しい障害ですが、上手く治療が進んで復帰する際、これは大きなチャンスです。
通常、1度社会のレールから外れるとなかなか復帰が難しいと言われる昨今、大手企業への就職の可能性が、しかも年齢を通常ほど問わずにあるというのは大きな魅力です。
当然、先に書いたオープンのメリットを全て受けることが出来ます。フルタイムや正社員を希望する場合は、一旦全ての条件を横に置いて、障害者求人を見ることを強くオススメします。
欠点としては、どうしても職種や給料が限られてしまうことです。特に地方住みの人は選択肢がかなり狭くなってしまいます。
それでも、1度覗いてみる価値は絶対あります。手帳がなくても、ハローワークの障害者求人であればハローワークインターネットサービスで、閲覧自体はスマホでも可能ですよ!
非公開求人について – ハローワーク編
ハローワークインターネットサービスを実際に見ると、こんな項目がありますよね。
ハローワークに求職登録をしている場合にのみ、表示される求人があります。非公開求人に近いものです。数はあまり多くありませんが、たまに良い求人が出ていることも。
また、ハローワークに定期的に足を運んでいると、ひょんなことから出る寸前の求人の情報を教えて貰ったりすることもあります。
求人を出す企業と話をしたハローワーク職員の人が「そういえば……」とよく来る求職者の話を出し、職員の人が証人になってアピールしてくれることも稀ながらあります。
もし現在外に出ることに抵抗感が薄くなっている&障害者手帳を取得済みなら、ハローワークの障害者窓口で、なんとなく現状を相談に行くのは悪くない手です。
先のシミュレーションついででもいいですね。求職登録を済ませれば、非公開求人も通常の求人同様、いつでも見ることができるようになります。
ハローワークは地域差がかなり激しい点だけは注意が必要ですが、私が住む地域では結構話を聞いてくれましたよ。
非公開求人について – ハローワーク以外編
まず大前提として、ハローワーク以外の登録型の障害者求人は、未だに身体障害の人がメインな流れは否定し切れません。
というのも、先に少し触れたように、ハローワークでない場所に求人を出す場合、企業も相応のコストを支払っているからです。
コストをかけてでも集めようとしている対象が、軽い身体障害の人であるパターンはどうしても多くなることでしょう。
ネット上での障害者求人に対する「精神障害の対象が少ない!」という声は、こういった事情を反映していると考えられます。
代わりに、これらの登録型求人には大手企業が多く参加しています。上手くアピールして滑り込むことが出来た際のリターンは大きいです。
企業は別に身体障害に拘っているワケではありません。障害を持つ人の中で、最も扱いやすいから軽い身体障害の方を求めているだけです。
キチンと働けることをアピールできれば、精神の方でもチャンスはあります。その上で。
アットジーピー
障害者求人なら、アットジーピーは鉄板で有名ですね。
面倒な書類作成から面接サポートまで!障害者の就・転職ならアットジーピー【atGP】
▲精神障害者向けの案内もあります
精神障害の人向けのページもキチンと作成されています。以前は精神障害には弱いと言われていましたが、力を入れてますね。
ハローワークと同様の相談や履歴書の添削などはもちろん、病状に合わせた就労移行支援事業も行っています。
▲アットジーピーの就労移行支援
アットジーピーの精神障害の人向けサービスは関東、関西、中部エリアに限定されます。とはいえ、これでも結構カバー範囲は広い方です。
他にも、さまざまなサービス
それ以外だと、DODAチャレンジ、アビリティスタッフィングなど、元々は一般の求人サイトを運営している会社が、障害の方向けに作成したサイトがあります。
DODAチャレンジは、転職サイトDODAで有名なパーソルキャリア。アビリティスタッフィングは、リクナビでお馴染みリクルートホールディングスが運営しています。
特にアビリティスタッフィングは精神障害に力が入っていますが、範囲が首都圏限定とメチャ狭いのが難点。
就職体験記がほぼ精神系で埋まるサイトは、ここしか見たことがありません。首都圏にお住まいならオススメできます。私も登録してみたかった。
こんな感じで、いずれも勤務地の条件がハローワークの求人以上に範囲が狭くなっています。
会社によってカバー地域に差がありますが、こちらはハローワークとは対照的に、多くが非公開求人であり、未登録で求人を見ても実情がハッキリしません。
登録すると紹介できる案件があるかどうかはすぐに返答があるので、1度登録してみて返答を待ってみるといいですよ。私も実際に登録しました。
もし「紹介できる案件がありません」的なメールが届いたら、登録解除してしまえばOKです。
ずっと登録しておくと、いずれ別の求人が滑り込んでくる可能性も否定はできませんが、明らかに通えない範囲の求人情報をメールで流されるのは結構ウザかったです……
リクナビとかの一般求人でもよくあるので、仕方ないのかもしれんけどさー。
ちょっとした小話というか愚痴というか
精神障害の人向けの求人が少ないことに対し「精神障害への理解が進んでいない」と口にする人は多いです。障害が理解されていないから、働く場の提供も少ないんだという理屈ですね。
私これ、必ずしもそうじゃないと思っています。むしろ、理解者が増えるとさらに働く場が減る危険性すらあると。
なぜなら、精神障害を理解すればするほど、その性質は会社で働くという行為に不向きであることが浮き彫りになるからです。
再三言いますが、別に企業は身体障害を優遇しているワケではありません。身体障害の人の中でも、軽い障害の人だけが選ばれています。
その理由は明白で、扱いやすいからです。
身体障害はその内容が内臓疾患でない限り、外見だけでほぼ分かります。配慮すべきことも、起こる事態も、予測が容易なんですよ。
仕事とは、よほど選ばれた人でない限りは歯車のような動きが求められます。毎日一定量を一定以上のペースで動かすことです。
RPG的に言うと、突出した能力はいらないが、平均的なステータスが欲しいんですよ。勇者型ですね。
この点、精神や知的って会社に超絶に向いていないのです。
まず双方とも脳機能の障害です。当然、目には見えません。
さらに、精神はその日の調子でステータスが大きく変動しますし、知的はあるステータスはメチャクチャ優秀なんだけど、あるステータスはゼロに近い、みたいな配分なんですね。
何らかのスペシャリストを目指すならともかく、とりあえず就職って形を取る場合は圧倒的に不利です。
現状でも、発達障害、自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群の方の就職率は、その能力の割に極めて低いことが問題視されています。
精神障害への理解が進むと、身体障害と同様に症状の極めて軽い方は就職が有利になる可能性は高いです。反面、ちょっとでも調子が悪い人は、チャンスがなくなるかもしれません。
私が大学を卒業して就職する頃は、就職氷河期そのものは終わっていたものの、内定格差が深刻な時代でした。1人に内定が集中し、それ以外の人は全く内定が取れないのです。
でも1人が行ける企業は1つ。つまりそれ以外の内定はその下の学生に降りて……こなかったんです。
当時を図にするとこんな感じです。
そして、企業はこのラインより下なら、そもそも採用を見送ったのです。企業も当時は余裕がなかったとはいえ、結果的に多くの学生が志望した業界や企業を諦めました。
かくいう私も、そのひとりです。
当時は本当にサービス業以外全落ちです。まさに「選ばなければ仕事はある(ただしそもそも選ぶ権利がない)」みたいな状態でした。
不幸自慢みたいなことをする気はありませんが、就職氷河期とは違う意味で地獄だったと思いますし、その後のリーマンショック経験組は……もっと地獄だったでしょうね。
就職時の不運を嘆く声は就職氷河期に多いですが、氷河期のあとも地獄は続いています。
氷河期はそもそも働く場所そのものが少なかったのですが、その後の世代は働く場所はあっても著しく限られたり、一定の能力以上の人以外は職が選べなかったり。
ちゃんと能力のある人は、仕事が集中し過労になる……なんて状態です。
このようなピラミッドが精神障害にもできてしまうのか、はたまた、すでに組み上がってしまっているのか。
理解が進むことが、就職環境の改善に繋がるのか。プラスに必ずしも働くと思えない理由はここにあります。
まとめ
- クローズでも問題ない程度の状態まで回復しよう!
- 自信のなさはシミュレーションで取り戻せ!
- オープンで行く時は、安定して就労できるという実績を作ろう!
- オープンの面接は通常の面接とは質問が違うぞ!
- 障害者求人も1度は見てみて!
ここまでやってもダメな時はダメですが、少なからず何の準備もなくオープンにして「障害あるけど雇って!」と応募するより何十倍も率が上がります。
私は以前、準備はしたつもりでしたが、あまり自分の安定を訴えずに就職活動を行い、結果かなりのお祈りメールをいただきました……凹むよアレマジで。
最後に
私が就活に苦戦している頃に、家族でもないのに幾度となく手助けをしてくれた恩人がいます。障害のことを話す場合は師匠みたいな存在です。その人が言った言葉です。
「結局のところ、就職は縁だよ」
理屈大好き人間の私は、最初はあまり腑に落ちていませんでした。しかし、就職や転職活動をやっている間に、この言葉の意味を重く受け止めることになります。
お祈りメールが山ほど届き「あーあー死にたいなー!」と軽く口走っている頃です。
昨今は落ちても、履歴書を返して来るんですよね。「個人情報ですので処分して下さい」っつって。会社に用事のない人の個人情報を、勝手に処分もできませんしね。
でも、志望動機もその会社のを書いたし、写真もバッチリ。使い回しができませんよね。だからね。
自宅でね、その履歴書を、1枚1枚シュレッダーにかけるんです……
来ますよ!精神に!ズドンとね!!
1枚300円くらいする写真ごと粉微塵ですよ!
財布にも来るよ!ズドンとね!!!
「あーあ、全然社会に必要とされてないよなぁ」そんな気分にさせられます。でも、その時に思い出すんです。
「結局のところ、就職は縁だよ」
こう考えた方が圧倒的に楽なんです。
普通、落とされまくったら凹みます。自分のどこがダメだったんだろうとか、そもそもあのシーンがいけなかったのかな、とか、すっごいドス黒いモノが頭を駆け巡っていくんです。
そこで、コレ!
「ああ、この会社とは縁がなかったんだな」
確かに、自分に原因があるならそれは取り除く必要があります。でも、頭の中で堂々巡りしてる時って、それはもう答えがないことなんですよ。
自分が落ちたことには何か理由があるはずだ
→求人出してる時点で人手は欲しいんだよなぁ……
→それでも落とされる私って……ああなんてクソ野郎なんだ……
物事の原因をどこでもいいから求めてしまう。そして、それは大抵自分になってしまうんです。だから精神的にも参ってしまう。
でももしかしたら、すでにもっと良い人が来ていて枠がなかっただけかもしれない。嫌な話ですが、カラ求人って可能性もあるハズですよね。真相は分からない。だったら――
「ああ、この会社とは縁がなかったんだな。次の縁を探しに行こう」
あなたの縁が見つかることを願っています。
以上でこの記事を終わります。最後までお読みいただき、ありがとうございました!